この記事でわかること

NISA歴4年の僕が、こんな疑問に答えます。
オルカンについて調べてみると、『実質コスト』や『隠れコスト』という話を目にします。
『オルカンのコストって信託報酬だけじゃないの?』と思うでしょうが、実は信託報酬以外のコストが存在しています。
そこで、この記事では、オルカンにはどのようなコストが存在しているのか解説します。
また、ほかのファンドと比べて、本当にeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の運用コストは安いのか比較しているので、読んで参考にしてください。


新NISAで資産運用するなら、投資について勉強するのがおすすめです。
勉強しておけば、投資に詳しくなれる上に、詐欺に引っかかる可能性も下がります。
KindleやAudebleなら、スマホ1台あればどこでも読書できますよ。
30日間の無料お試し期間があるので、気軽に登録してみてください。
\KindleUnlimitedの登録はこちら/
\Audibleの登録はこちら/
オルカンの実質コストとは?
オルカンの実質コストとは、投資家が実際に負担する総費用のことを指します。



それって、信託報酬のことだよね?



実は、信託報酬以外にも、いくつかコストがあります。
具体的には、以下の4つのコストが、オルカンに含まれています。
- 信託報酬:ファンドの運用管理費用
- 売買委託手数料:株式等の売買時にかかる手数料
- 有価証券取引税:海外株式の取引に課される税金
- その他の費用:監査費用、印刷費用など
隠れコストが存在している
『信託報酬は知っていても、ほかの手数料の存在を知らない』という方は多いでしょう。
その理由は、売買委託手数料や有価証券取引税は、ファンドを売買するサイトのページに記載されていないからです。
これらのコストは、年に1回交付される『運用報告書』に記載されています。



運用報告書とか、見たことないよ。



見たことない方が多いから、あまり知られていないコストなのでしょう。
結果、存在しているけど認知されていないコストが、隠れコストとなるわけですね。
運用報告書は、いつでも誰でも閲覧可能です。
オルカンの運用コストはどれくらい?
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の実質コストは、以下のとおり。
2023年4月26日〜2024年4月25日の運用コスト
項目 | 内訳 | 金額(比率) | 合計金額(合計比率) |
---|---|---|---|
信託報酬 | 投信会社 | 6円(0.028%) | 16円(0.076%) |
販売会社 | 6円(0.028%) | ||
受託会社 | 4円(0.02%) | ||
売買委託手数料 | 株式 | 1円(0.004%) | 1円(0.006%) |
投資信託証券 | 0円(0%) | ||
先物・オプション | 0円(0%) | ||
有価証券取引税 | 株式 | 4円(0.019%) | 4円(0.019%) |
投資信託証券 | 0円(0%) | ||
その他費用 | 保管費用 | 6円(0.03%) | 6円(0.03%) |
監査費用 | 0円(0.001%) | ||
その他 | 0円(0.002%) | ||
合計 | 27円(0.131%) |
上記の金額は、ファンド1万口に対するコストです。
つまり、『eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)を1万口持っていれば、年間に27円の運用コストがかかっていた』ということになります。



オルカンの信託報酬って、0.05775%じゃなかったっけ?



2023年9月8日以降は0.05775%ですが、それ以前の信託報酬は0.1133%でした。
2つの信託報酬が合算されているため、信託報酬は0.076%になっているわけです。
オルカンの実質コストを他のインデックスファンドと比較
オルカンの実質コストを、ほかのインデックスファンドと比べてみましょう。
全世界株式インデックスファンドとの比較
代表的な全世界株式インデックスファンドで、実質コストを比較してみましょう。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
- eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
- eMAXIS Slim 全世界株式(先進国)
- eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))
- たわらノーロード 全世界株式
ファンド | 1万口あたりの基準価格 (最新の運用報告書発行日) | 1万口あたりの費用 (割合) | 信託報酬 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | 24,005円 (2024年4月25日) | 27円 (0.131%) | 0.05775% |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 24,227円 (2024年4月25日) | 28円 (0.0135%) | 0.05775% |
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等) | 19,329円 (2024年4月25日) | 26円 (0.0158%) | 0.05775% |
先進国eMAXIS Slim 全世界株式(先進国) | 29,058円 (2024年4月25日) | 34円 (0.137%) | 0.09889% |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式)) | 19,206円 (2023年11月13日) | 14円 (0.078%) | 0.1022% |
たわらノーロード 全世界株式 | 18,736円 (2023年11月13日) | 23円 (0.148%) | 0.1133% |
比べてみると、実はSBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))の実質コストが、一番低いですね。



どうして、SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))が一番低いの?



売買委託手数料と、有価証券取引税がかかっていないからです。
一番リターンが大きいのはeMAXIS Slim 全世界株式
つみたてNISAを始めたころ、僕は無知だったため、
- eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))
- たわらノーロード 全世界株式
それぞれに、毎月3,000円ずつ投資していました。



同じようなファンドに、意味のない分散投資を行っていたわけですね。
2022年1月〜2024年7月の、それぞれのリターンは、以下のとおり。
ファンド | 損益(円) | 損益(%) |
---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | +32,384円 | +49.07% |
たわらノーロード 全世界株式 | +32,315円 | +48.96% |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式)) | +30,920円 | +46.85% |
微妙な差ではありますが、リターンはeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)がトップですね。



この差が、遠い将来大きくなりそうだね。
なので、オルカンに投資するなら、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)を選びましょう。
S&P500インデックスファンドとの比較
続いて、オルカンと同等あるいはそれ以上の人気を持つ、S&P500のファンドと実質コストを比べてみます。
ファンド | 1万口あたりの基準価格 (最新の運用報告書発行日) | 1万口あたりの費用 (割合) | 信託報酬 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | 24,005円 (2024年4月25日) | 27円 (0.131%) | 0.05775% |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 28,331円 (2024年4月25日) | 24円 (0.104%) | 0.09372% |
信託報酬はオルカンが安いですが、実はS&P500の方が実質コストは低いようです。



S&P500は、売買委託手数料と有価証券取引税がかかっていません。
そのため、オルカンよりS&P500の方がコストは安いわけです。
日本株インデックスファンドとの比較
次に、日本株のインデックスファンドを、同じeMAXIS SlimシリーズのTOPIXと日経平均と比べてみましょう。
ファンド | 1万口あたりの基準価格 (最新の運用報告書発行日) | 1万口あたりの費用 (割合) | 信託報酬 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | 24,005円 (2024年4月25日) | 27円 (0.131%) | 0.05775% |
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 20,240円 (2024年4月25日) | 27円 (0.147%) | 0.143% |
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 18,009円 (2024年4月25日) | 23円 (0.148%) | 0.143% |
日本株インデックスファンドのコストは、オルカンより少し高めですね。
信託報酬の差は、オルカン(信託報酬0.05775%)が0.07325%です。
対して、TOPIX(信託報酬0.143%)は0.004%、日経平均(信託報酬0.143%)は0.005%と小さくなっています。



どうして、差が小さいの?



TOPIXと日経平均の場合、信託報酬以外のコストがほぼかかっていないからです。
TOPIXと日経平均は信託報酬以外のコストが少ない
オルカンには信託報酬以外に、
- 売買委託手数料(1万口につき1円)
- 有価証券取引税(1万口につき4円)
- 保管費用(1万口につき6円)
のコストがかかっています。
一方、TOPIXと日経平均には、上記3つのコストがなく、隠れコストは監査費用(1万口につき1円)だけです。
結果、TOPIXと日経平均の実質コストは、信託報酬との差が少ないんですよ。
ただ、コスパとリターン、どちらもオルカンの方が上です。
新興国インデックスファンドとの比較
最後に、新興国インデックスファンドと、実質コストを比べてみましょう。
ファンド | 1万口あたりの基準価格 (最新の運用報告書発行日) | 1万口あたりの費用 (割合) | 信託報酬 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | 24,005円 (2024年4月25日) | 27円 (0.131%) | 0.05775% |
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 15,470円 (2024年4月25日) | 50円 (0.359%) | 0.1518% |
ここまでに紹介したインデックスファンドと比べて、新興国インデックスファンドは、実質コストが高くなっています。
実質コストが高い理由は、
- 売買委託手数料(0.035%)
- 有価証券取引税(0.036%)
- 保管費用(0.103%)
それぞれに、オルカンより高いコストがかかっているからです。



新興国インデックスファンドは、隠れコストが大きいんだね。



その上、カントリーリスクが高いので、おすすめできないファンドですね。
実質コストを確認するべき理由
実質コストを確認するべき理由は、表面上の信託報酬だけでは、ファンドの真のコストを正確に把握できないからです。
たとえば、過去にとあるオルカンファンドが『信託報酬が0.05775%とかなり安い』と評判になったことがありました。
その当時、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の信託報酬は0.1133%でした。
しかし、実際には、本来は信託報酬に含まれるベンチマークに支払う手数料を、ほかのコストとして扱って安く見せていたわけです。



コストを隠していたんだね。



この隠れたコストを含めると、実質的な負担はより高くなっていました。
このように、意図的にコストを隠している可能性があるため、実質コストは確認するべきです。
大差ないなら気にしなくてもいい
信託報酬と実質コストの差が小さいなら、気にしなくてOKです。
その理由は、リターンへの影響が小さいから。
たとえば、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)を100万口分(2024年4月25日の基準価格で204万500円)保有しているとしましょう。
この場合、年間のコストは、
- 信託報酬:約1,178円
- 実質コスト:約2,673円
です。



あまり気にならない金額だね。



『実は、とんでもない額の隠れコストが存在しているんです!』とはいえないレベルなら、気にしなくてもいいでしょう。
オルカンの実質コストに関するよくある質問
- オルカンの実質コストが下がる可能性はある?
- 実質コストを下げる方法はある?
- 運用報告書はどこで見られる?
- 運用報告書で実質コスト以外にわかることは?
オルカンの実質コストが下がる可能性はある?
結論からいえば、今後、オルカンの実質コストは少し下がります。
なぜなら、最新の運用報告書では、信託報酬が0.076%になっているから。
前述のとおり、eMAXIS Slim 全世界株式の信託報酬は、
- 2023年9月8日以前:0.1133%
- 2023年9月8日以降:0.05775%
でした。
つまり、0.05775%の時期と0.1133%の時期が被っているため、信託報酬は合算の0.076%となっているわけです。
信託報酬を0.05775%で計算した場合、オルカンの実質コストは約0.11%まで下がります。
なので、オルカンの実質コストは、少し下がるわけです。
実質コストを下げる方法はある?
実質コストは、ファンドを運用するための必要経費なので、投資家側では下げられません。
しかし、ファンドのコスト以外なら、抑えられますよ。
たとえば、投資で得た利益にかかる税金20.315%は、新NISAで運用すれば非課税にできます。
税金面では損しないので、オルカン投資は新NISAを活用しましょう。
また、複数のファンドを運用していれば、それぞれに運用コストが発生してしまいます。
ファンドは1本化すれば、それだけで運用コストを抑えらるわけです。
運用報告書はどこで見られる?
運用報告書は、ファンドの運用会社のホームページで閲覧できます。
たとえばeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の場合、三菱UFJアセットのホームページ で、閲覧可能です。
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の項目を開いて、『交付運用報告書』をクリックまたはタップすれば、運用報告書が開かれます。
運用報告書で実質コスト以外にわかることは?
運用報告書には、実質コスト以外にも多くの情報が含まれています。
おもな内容は以下のとおり。
- 基準価格の動き(騰落率):ファンドのパフォーマンスや基準価額の推移
- 基準価格の主な変動要因:なぜそのような結果になったのか、市場環境や運用戦略の観点から解説
- ベンチマークとの差異:ベンチマークと実際の運用成績にどれくらいの差が出ているか
- 今後の運用方針:運用会社が今後どのような戦略で運用していくかの方針
これらの情報によって、ファンドが正しく運用できているか確認できます。
また、世の中がどのような動きをしたかもわかって、投資の勉強になるので、たまにでいいので運用報告書は見ておきましょう。
運用報告書は年に1回交付されているので、その時の目を通せばOKです。
まとめ:オルカンの実質コストは安い
オルカンには、信託報酬以外のコストが存在します。
しかし、年間で約0.13%と低めで、100万口分(204万円分)保有しても年間3,000円以下です。
なので、そこまで気にする必要はないでしょう。
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)は、株式に関してはこれ1本で分散投資ができる、優れたインデックスファンドです。
初心者の方におすすめできるファンドの1つなので、これから新NISAで投資を始める方は、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)を選んでみてください。


ここまで読んだあなたは、かなり勉強熱心な方です。
その熱量で、新NISAや投資、お金の勉強も始めてみてください。
読書するなら、電子書籍のKindleや、オーディオブックのAudibleがおすすめです。
KindleとAudibleは、スマホ1台あればどこでも本を読んだり聴いたりできます。
ちょっとした待ち時間や移動中などの隙間時間を、有効に活用して学んでいきましょう。
KindleとAudible、どちらも30日間の無料お試し期間があります。
まずは登録してみて、気に入ったらそのまま使いましょう。
気に入らなくても、登録から30日以内に解約すれば月額料金は発生しないので、気軽に登録してみてください。
\KindleUnlimitedの登録はこちら/
\Audibleの登録はこちら/
どんな本を読めばいいかわからない方は、下の記事を参考にしてください。


コメント